前回の記事で宝石についてまとめましたが、どんな宝石のジュエリーが良いかな?○○のジュエリーを持っているけど、どうやって扱えば良いのかな…と疑問が湧いてくる方もいるはず。管理人も宝石のついたジュエリーを購入する際には特に気になった点ですので、まとめていきます!
宝石って何?という方はまずこちらからどうぞ!

宝石の耐久性とは
ジュエリーとして着用する宝石は、日常使用に耐えることができるのか?その耐久性が気になりますよね。主に以下の点で評価されています。
- モース硬度:引っ掻き傷や摩耗に対する強さ。1~10までの数字で表す。
- 靱性:衝撃による割れや欠けに対する強さ。
- 安定性:化学物質や熱、光、湿度の変化に対する強さ。
- 劈開性:ある方向に沿って割れる性質。
たとえば宝石の中で最もモース硬度の高いダイヤモンドは傷や摩耗には強いですが、靱性は中程度、劈開性がありますので衝撃によって割れてしまうこともあります。一方、モース硬度6の翡翠(ヒスイ)は傷や摩耗には決して強くありませんが、靱性が高く劈開性は弱いので衝撃を与えても割れにくい特性があります。

モース硬度
「あるもので引っかいたときの傷のつきにくさ」を10の基準宝石を使って相対的に判定しています。あくまで傷つきにくさを表すものなので、割れや欠けなどの壊れやすさを表すものとはまた異なります。ジュエリー選びの際にはご注意ください。
代表的な宝石のモース硬度
- 10:ダイヤモンド
- 9:ルビー、サファイア
- 8:アレキサンドライト、キャッツアイ、スピネル、トパーズ
- 7:エメラルド、アクアマリン、モルガナイト、トルマリン、ガーネット、アメシスト、シトリン、ローズクォーツ
- 6:ムーンストーン、カルセドニー、ペリドット、翡翠、タンザナイト、ジルコン
- 5:アパタイト、スフェーン、オパール、トルコ石、ラピスラズリ
- 4:フルオライト
- 3:カルサイト、マラカイト、珊瑚、
- 2:セレナイト、真珠、シェル、べっ甲、琥珀
- 1:タルク

靱性
衝撃による割れや欠けに対する強さのことで、つまり壊されにくい性質のことを言います。粘り強さなどと表現される場合もあります。
代表的な宝石の靱性
- 非常に強い:翡翠
- 強い:ルビー、サファイア
- 普通:ダイヤモンド、アレキサンドライト、スピネル、アクアマリン、モルガナイト、アメシスト、シトリン、ローズクォーツ、カルセドニー、真珠
- 多少弱い:トルマリン、ガーネット、ペリドット、ジルコン(無処理)、アパタイト、ラピスラズリ、珊瑚、シェル、べっ甲
- 弱い:トパーズ、エメラルド、タンザナイト、ムーンストーン、ジルコン(熱処理)、スフェーン、オパール、トルコ石(品質により普通~弱い)、フルオライト、マラカイト、カルサイト(品質により普通~弱い)、琥珀、セレナイト、タルク

安定性
安定性とは宝石が化学物質や熱、光、湿度の変化に耐えられるかどうかを表します。以下のとこに注意したほうがよい宝石をまとめます。
- 急激な温度変化:ダイヤモンド、アパタイト、オパール、タンザナイトなど
- 紫外線:ルビー、パパラチアサファイア、真珠、オパール、シトリン、アメシスト、アクアマリン、トパーズ、琥珀、珊瑚、トルコ石、モルガナイト、ラピスラズリ、ローズクォーツなど
- 熱:真珠、オパール、トパーズ、スピネル、琥珀、エメラルド、トルコ石など
- 汗や水:エメラルド、真珠、オパール(低い湿度にも弱い)、琥珀、珊瑚、ラピスラズリ、トルコ石など
- 中性洗剤:エメラルド、真珠、オパール、珊瑚、ラピスラズリ、トルコ石など
この他にも様々なことが原因となって、大切な宝石にダメージを与えてしまう可能性があります。いつまでも身につけられるように、それぞれの宝石に適した取り扱い方法を知って着用したいですね。

劈開性
劈開性とはある方向に沿って割れる性質のこと。ぶつけてしまった場合など衝撃を与えた際に割れやすいものを「強い」、割れにくいものを「弱い」、割れないものを「なし」としています。
代表的な宝石の劈開性
- なし:ルビー、サファイア、トルマリン、ガーネット、アメシスト、シトリン、ローズクォーツ、カルセドニー、ジルコン、オパール、トルコ石、ラピスラズリ、珊瑚、真珠、シェル、べっ甲、琥珀
- 弱い:アレキサンドライト、キャッツアイ、スピネル、エメラルド、アクアマリン、モルガナイト、ペリドット、翡翠、アパタイト、
- 強い:ダイヤモンド、トパーズ、タンザナイト、ムーンストーン、スフェーン、フルオライト、マラカイト、カルサイト、セレナイト

ジュエリーにおすすめの宝石
①ダイヤモンド
モース硬度10、靱性普通、劈開性強。圧倒的にモース硬度が高く、熱湯などによる急激な温度変化や激しくぶつけて衝撃を与える等に気をつけていれば、取り扱いやすい宝石として多くの方に愛されています。カットやカラーの種類が豊富で、リーズナブルな価格のものからありますのでまずは持っておきたい宝石の1つ。日常使いしている人も多いはず!
②ルビー、サファイア
モース硬度9、靱性強、劈開性なし。ルビーは紫外線に注意する必要はありますが、それ以外はおおむね取り扱いやすい宝石として有名です。産地によって特色があったり、サファイアは豊富なカラーを楽しめるところも◎希少価値の高いパパラチアサファイアという種類もあり、その沼は深いです!(オレンジとピンクの間の色でめちゃくちゃかわいい!!!!!)
③アレキサンドライト
モース硬度8、靱性普通、劈開性弱。思い浮かぶ弱点といえば希少性が高く、天然かつ高品質なものは高額であることです。管理人は今まさに勉強中ですが、初心者は少し勉強してから購入を決めたほうがその過程まで楽しめるかも。カラーチェンジ効果は多くの愛好家たちを引きつける大きな魅力です!
④スピネル
モース硬度8、靱性普通、劈開性弱。レッドスピネルは長い間ルビーと区別されなかったほどの美しさを持つ宝石です。めったに産出されないイエローを除き、カラーが豊富なところも魅力。透明度と屈折率が高いため、カットにより輝きを増します。耐久性が高いので日常使いにおすすめです!
⑤アクアマリン
モース硬度7、靱性普通、劈開性弱。一般的にモース硬度7以上であればジュエリーとして着用するのに問題ないとされています。アクアマリンの魅力といえば澄んだ青いカラー。紫外線により変色を起こしてしまう可能性があるので、長時間紫外線を浴びる日は着用を避けたり、保管場所に注意したりしましょう。
まとめ
今回は宝石の耐久性について、大きくわけて4つの視点からまとめてみました。
- モース硬度
- 靱性
- 安定性
- 劈開性
現在ジュエリーとして市場に多く出回っている宝石は、いずれかにおいて高い評価をされているものが多いですね。ダイヤモンドやルビー、サファイアが多くの人々に愛用されているのには美しいだけではない理由がありました。
こちらの記事は「価値がわかる宝石図鑑〈第2版〉」を参考にさせて頂きました。(参考:諏訪 恭一 「価値がわかる宝石図鑑〈第2版〉」,ナツメ社 , 2024年5月)
図鑑というタイトルなだけあって写真が多いため、初心者にも非常にわかりやすく勉強になりました。本書の中に「身につけてこそ宝石」という表現があるのですが、ジュエリーとして着用することに重きを置いて書かれているように感じました。きっとジュエリー選びの参考になるはずですので、ご興味のある方はぜひ読んでみてくださいね!
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