宝石はカットによって輝き方を変えるもの。みなさんはどのようなカットがあるかを知っていますか?ここでは代表的な種類とその魅力をご紹介していきます!

宝石ってキラキラして素敵だけど、どうして?

美しさを最大限引き出すための加工がされているからです!
宝石の加工
宝石は原石として販売されるものを除き、通常はカット・研磨されて私たちの手元に届きます。それは宝石のもつ美しさを最大限引き出して魅力的にするためです。
カットには大きくわけてファセットカットとカボションカットの2種類あります。ファセットカットとはいくつもの平らな面(=ファセット)が施されたカットのこと。キラキラとした光沢や輝きを生み出します。カボションカットは上部が丸いドーム型をしたカットのこと。石自体の色合いや模様を生かすことができ、自然な艶を楽しむこともできます。
- ラウンドブリリアントカット
- オーバルカット
- ハートシェイプカット
- マーキスカット
- ペアシェイプカット
- クッションカット
- プリンセスカット
- エメラルドカット
- カボションカット(シングル)
- カボションカット(ダブル)
カットの種類
ファセットカット
ラウンドブリリアントカット

ダイヤモンドで最も人気のある定番カットです。形状は真円でファセットは全部で58面。ダイヤモンドの輝きを最大限に引き出すために考案されただけあって、カットグレードの高いものはため息が出てしまうほど美しい輝きを放ちます。
- 人気のある定番カット、真円形
- 加工の過程で大きさと重量が小さくなる
- 他のカットとの相性が良く、脇石としても優秀
面の多さや真円にするために何度もカットすることから、大きさも重量も小さくなってしまうデメリットはあります。しかし、その他カットとの相性が良いので中石(=メインとなる石)の魅力を引き立てる脇石としても使いやすいです。
オーバルカット

ブリリアントカットに似た輝きをもち、カラット(=ct、重量)を保持できるメリットがあるため、様々な宝石に使われています。縦横の比率でかなり印象が変わる楕円形ですが、2:1が綺麗といわれています。
- ラウンドブリリアントカットに似た輝きを持ちながら重量を保持できる楕円形のカット
- 重量に対して大きく見える
- 縦横それぞれの向きで輝きを楽しめる
同じ重量のラウンドブリリアントカットよりも表面積が大きくなるので石の存在感があるところも魅力。ジュエリーにする際には、縦にするか横にするかで雰囲気が異なるところもこのカットの特徴です。使用感にも影響がありますので、ご自分の希望に合うものを選びたいですね。
ハートシェイプカット

20世紀に考案された比較的新しいカット。その名の通りハート形をしています。上部の切り込みをカットするために高い技術を必要とし、硬度の低い石では加工中に欠けが発生してしまうことも。
- 20世紀に考案されたハート形のカット
- 硬度の低い石の加工はとくに難しい
- 比較的高価だが、アメリカやアジアで人気がある
自然界にはなかなか存在しない形状であることから使用できる原石が限られてしまうこと、カットする面積が多く重量が少なくなってしまうことから、比較的高価になることが多いそう。それでもアメリカやアジアでは人気のあるカットとして知られています。
マーキスカット

楕円形の両端を尖らせた、ラグビーボールのような形をしたカット。ファセットは18面もしくは58面で、18面のほうが輝きが強いとされます。縦横比率は2:1が一般的ですが、原石にあわせてカットされるため多少の個体差があります。
- ラグビーボール形のカット
- 尖った先端が欠けやすく、ジュエリーにする際には工夫が必要
- 実際の重量よりも存在感があること、個性的な雰囲気が魅力
先端が尖っているので欠けやすいというデメリットもあります。ジュエリーにお仕立てする場合はデメリットを補うような加工をお願いしましょう。しかし、オーバルカットのように重量よりも存在感があるところは魅力。曲線がありながらも両端の鋭利なカットが少しクールな印象を与えますので、個性を出したい方にもおすすめです。
ペアシェイプカット

オーバルカットとマーキスカットの良いところを合わせもった、洋なしやしずくのような形をしたカットです。別名ドロップやティアドロップと呼ばれることも。ファセットは71面が一般的です。
- オーバルカットとマーキスカットのメリットを併せもつ洋なし形のカット
- 柔らかい雰囲気を持ち、ジュエリーとしても好まれる
- 上下逆さにすることで違った印象を楽しめる
柔らかい雰囲気をもつカットで、色石ジュエリーにもよく用いられています。ペアシェイプの色石をメレ(=小さい)ダイヤモンドで囲んだようなエレガントなデザインも素敵です。着用時のバランスの良さからピアスやネックレスとしても人気があります。リングの場合は上下を逆に着用することで印象を変えられるところも魅力。
クッションカット

角に丸みのある四角形のようなカットで、宝石の光沢を最大限生かすことができるといわれています。18世紀に確立されて以来長らく愛されてきたカットで、クラシカル雰囲気をもつところが魅力。20世紀初頭までダイヤモンドの主流なカットでした。
- 四つ角に丸みのある四角形のカット
- 宝石の光沢を最大限生かせる、長年愛されてきたクラシカルなデザイン
- 石の透明度がわかりやすく、光の屈折と反射を楽しめる
ファセットが大きいため良い意味でも悪い意味でも石の透明度がわかりやすいカットのうちのひとつ。その大きな面がより多くの光を屈折・反射するのでキラキラとした輝きを楽しむのにぴったりです。
プリンセスカット

ラウンドブリリアントカットの四角形バージョン。およそ76面とファセット数が多いため強い輝きを楽しめます。このカットも面が大きいため宝石の光沢を生かすことができるといわれています。
- 四角形をしたブリリアントカット
- カット数の多さから強い輝きを楽しめて、面の大きさから宝石の光沢を生かせる
- 角が欠けやすいデメリットはあるが、直線的なデザインがクールでモダンな雰囲気
角があるので欠けやすいデメリットもあります。ですが、その直線的な形状はクールでモダンな雰囲気が感じられて魅力があります。甘めの色やデザインが好きだけどジュエリーに取り入れるのは抵抗がある…という方はプリンセスカットを選ぶと使いやすそうです。
エメラルドカット

エメラルドカットはステップカットと呼ばれる、外周に平行な階段状の面があるカットの代表例です。そのステップカットのうち、四角形の4つの角を落としたものがエメラルドカットと呼ばれます。このカットはとくに内包物(インクルージョン)が目立ちやすいので、透明度の高い石に用いると美しさを引き立てることができます。
- 外周に平行な階段状の面があるステップカットの一種
- 内包物が目立ちやすいが、透明度の高い石の美しさを際立てることができる
- 濃い色や透明感など石そのものの自然な美しさを楽しめる
色が濃く美しい宝石の魅力を際立たせてくれるので、文字通りエメラルドに多く使われます。ここまでにご紹介したファセットカットは「輝き」を重視していましたが、エメラルドカットは色の美しさや透明度など石そのものの自然な美しさを楽しむことに重きを置いているように思います。それゆえ高品質な天然石ジュエリーによく見かけるカットでもあります。
カボションカット
カボションカット(シングル)
カボションカットは最も古く普及したドーム型のカットです。現在では主に翡翠などの半透明な石やトルコ石などの不透明な石、割れ欠けが起きやすいデリケートな石に用いられています。他にもシャトヤンシーと呼ばれる猫の目のような線がみられるキャッツアイや、美しい遊色をもつオパールなどに加工されることも。片面のみドーム型になっているものがシングルです。
カボションカット(ダブル)
カボションカットのダブルは両面がドーム型になっているものを指します。シングル、ダブル問わずに石自体の色合いや模様、特殊効果を引き出してくれるところが魅力。その独特な艶感も愛される理由のひとつだと感じます。
- 古くから用いられてきた丸いドーム型のカット
- 片面のみドーム型のシングル、両面がドーム型のダブルがある
- 色合いや模様、特殊効果を引き出し、独特の艶感も楽しめる
まとめ
今回は美しい宝石の魅力のひとつである、カットについてご紹介しました。
- 宝石のカットは大きくわけてファセットカット、カボションカットの2種類
- カットは宝石の見え方や雰囲気を変える重要な要素
- どのカットもその宝石のもつ魅力を最大限に引き出すための技術
みなさんがルースやジュエリーを選ぶ際の参考にしていただけたらうれしいです。お気に入りの宝石に出会えますように!
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